21 March.
犬がおしっこを舐める理由と正しい対処法!獣医師相談の目安も解説
犬が自分や他の犬のおしっこを舐める理由(本能・情報収集・栄養不足・ストレス)を徹底解説。やめさせるべきケースと具体的な対処法、獣医師に相談すべきタイミングを紹介します。

「うちの犬が自分のおしっこを舐めている……」「散歩中に他の犬のおしっこを舐めようとして困る」
こうしたお悩みを持つ飼い主さんは、実はかなり多いです。人間から見ると信じられない行動ですが、犬にとっておしっこを舐めるという行為には、きちんとした理由があります。
私自身もおしっこを頻繁に舐める癖のある犬を飼っていたことがあります。最初は「汚いからやめて!」と引っ張っていましたが、原因を理解してから対処したところ、自然と改善していきました。
この記事では、犬がおしっこを舐める6つの理由を科学的な根拠とともに解説し、やめさせるべきケースとそうでないケースを明確にした上で、効果的な対処法を解説します。愛犬の行動の「なぜ」を一緒に考えていきましょう。
犬がおしっこを舐める6つの理由

犬がおしっこを舐める行動は、単に「汚い癖」ではありません。それぞれの理由を理解することが、正しい対処への第一歩です。
1. フレーメン反応・ヤコブソン器官による情報収集
犬の口の中には「ヤコブソン器官(鋤鼻器)」と呼ばれる特殊な感覚器官があります。この器官は、尿に含まれるフェロモンや化学物質を分析する役割を持っています。
犬がおしっこを舐めたり、おしっこの上で口をパクパクさせる行動は、この器官を使って相手の情報を読み取っているのです。尿からは以下のような情報を得ることができます。
- 性別と生殖状態(メスの発情期かどうか)
- 健康状態
- 年齢の推定
- ストレスレベル
- 食事の内容
つまり、犬にとっておしっこは「名刺」のようなもの。舐めることは情報収集の一環であり、犬の社会的コミュニケーションの一部といえます。
2. 本能的な行動(母犬の育児行動の名残)
母犬は生まれたばかりの子犬のお尻を舐めて、排泄を促します。これは子犬が自力で排泄できるようになるまで続く、母性本能に基づいた行動です。
この本能が成犬になっても残っており、自分や他の犬の排泄物に対して舐める行動として現れることがあります。特に、母性本能が強い犬種や、子育て経験のあるメス犬に見られやすい傾向があります。
3. 栄養不足・ミネラル不足のサイン
犬がしきりに自分のおしっこを舐める場合、体内の栄養バランスが崩れている可能性があります。
特に以下の栄養素が不足していると、尿を舐める行動が増えることがあります。
- ナトリウム:尿に含まれる塩分を補おうとする
- ビタミンB群:ビタミンB群の欠乏は異常な食欲行動と関連がある
- 水分不足:十分な水分を摂取できていないと、尿を飲もうとすることがある
フードの量が足りていない、または栄養バランスの偏りがある場合に見られやすい行動です。
4. ストレスや不安の表れ
環境の変化、運動不足、飼い主さんとのコミュニケーション不足など、精神的なストレスを感じている犬は、自分のおしっこを舐めるという行動でストレスを発散しようとすることがあります。
ストレスが原因の場合、以下のような他の兆候も併せて見られることが多いです。
- 過度な毛づくろい(特定の場所を舐め続ける)
- 食欲の低下または過食
- 無駄吠えの増加
- 尻尾を追いかけてぐるぐる回る
- 破壊行動
これらの行動が複数見られる場合は、ストレスの原因を特定して取り除くことが重要です。
5. 飼い主の注目を引きたい(学習された行動)
犬は非常に賢い動物です。過去におしっこを舐めた際に飼い主さんが大きな声で反応した場合、「おしっこを舐めると飼い主さんがこっちを向いてくれる」と学習してしまうことがあります。
たとえ叱られたとしても、犬にとっては「無視されるよりもマシ」なのです。特に日頃から飼い主さんの関心が薄い(忙しくてかまってあげられない時期など)と、この行動が強化されやすくなります。
6. 医学的な原因(多飲多尿・クッシング症候群など)
おしっこを異常に舐める行動の背景に、病気が隠れている場合もあります。
- クッシング症候群:副腎皮質ホルモンの過剰分泌により多飲多尿になり、尿への関心が高まる
- 糖尿病:尿中の糖分が増え、甘い匂いに引き寄せられる
- 腎臓疾患:水分バランスの乱れから尿を舐める行動につながることがある
- 尿路感染症:排尿部位の違和感から舐める行動が増える
急にこの行動が始まった場合や、頻度が急激に増えた場合は、早めに獣医師の診察を受けることをおすすめします。
おしっこを舐めることをやめさせるべきケースとそうでないケースの見分け方

おしっこを舐める行動をすべてやめさせる必要はありません。大切なのは、放っておいてよい場合と対処が必要な場合を正しく見分けることです。それぞれのケースを確認しておきましょう。
無理にやめさせなくてよいケース
以下のような場合は、犬の自然な行動の範囲内と考えられます。
- 散歩中に他の犬の匂いを嗅いだ延長でたまに舐める程度
- すぐに別の行動に移り、執着していない
- 体調に変化がなく、元気で食欲もある
こうした場合は、過度に心配する必要はありません。ただし、散歩中の他の犬の尿を舐める行動は、感染症リスクがあるため、できれば避けたほうが安全です。
やめさせるべき・獣医師に相談すべきケース
以下のような場合は、何らかの対策が必要です。
- 頻度が急激に増えた:病気のサインの可能性
- 自分のおしっこを何度も執着して舐め続ける:強迫性障害やストレスの可能性
- 他の異常行動と併せて見られる:多飲多尿、体重減少、元気がないなど
- 散歩中に地面のおしっこを頻繁に舐める:感染症(レプトスピラ症など)のリスク
犬がおしっこを舐めるのをやめさせる対処法

ここからは、おしっこを舐める行動を減らすための具体的な方法をご紹介します。叱るのではなく、環境を整えたりトレーニングで教えたりするアプローチが効果的ですよ。
対処法1: 排泄後すぐに片付ける
最もシンプルで効果的な方法です。室内でおしっこをしたら、すぐにペットシーツを交換し、床を拭き取ります。おしっこが残っていなければ、舐めようがありません。
ポイント
- ペットシーツをこまめに交換する
- 消臭スプレーで匂いを残さない
- トイレを愛犬から見えない場所に設置する工夫も有効
対処法2: 散歩中のリードコントロール
散歩中に他の犬のおしっこを舐めようとする場合は、以下の手順で対応します。
- おしっこがある場所に近づく前にリードを短く持つ
- 「おいで」「こっち」などの指示で注意を引く
- 舐めずに通過できたら、すぐにご褒美(おやつや褒め言葉)を与える
- 繰り返し練習して、「舐めない=良いこと」と学習させる
重要なのは、舐めた後に叱るのではなく、舐めなかったことを褒めることです。叱ることは逆効果になることが多いです。
対処法3: 食事内容の見直し
栄養不足が疑われる場合は、食事を見直しましょう。
- 総合栄養食の表示があるフードを選ぶ
- 愛犬の年齢・体重・運動量に合った給餌量を守る
- ドッグフードの品質を確認する(安価すぎるフードは栄養が偏りがち)
- 必要に応じて獣医師に相談してサプリメントを追加する
対処法4: ストレスの原因を特定して環境改善
ストレスが原因の場合は、根本的な環境改善が必要です。
- 運動量の確保:犬種に合った十分な散歩や遊びの時間を設ける
- スキンシップの時間:毎日決まった時間に触れ合いの時間を作る
- 安心できる居場所の確保:静かで落ち着ける自分だけのスペースを用意する
- 生活リズムの安定:食事・散歩・就寝の時間をなるべく一定にする
対処法5: 「Leave it(無視しろ)」コマンドの練習
「おしっこを舐めない」というルールを教えるのに効果的なトレーニングです。
- 手の中におやつを持ち、犬に見せる
- 犬がおやつに興味を示したら「Leave it」と言う
- 犬が手から離れたら、反対の手からご褒美のおやつを与える
- 慣れてきたら、床に置いたおやつで練習する
- 最終的に散歩中の実践場面で使う
このトレーニングは、おしっこを舐める行動だけでなく、拾い食い防止にも非常に有効です。
おしっこを舐めることで起こりうる健康リスク
おしっこを舐める行動には、実際に健康上のリスクが伴うこともあります。特に他の犬の尿を舐めるケースでは注意が必要ですので、どんなリスクがあるのか把握しておきましょう。
感染症のリスク
他の犬のおしっこを舐めることで、以下のような感染症にかかるリスクがあります。
- レプトスピラ症:感染した動物の尿を通じて感染する細菌性疾患。重症化すると腎不全や肝不全を引き起こす可能性がある
- 犬ブルセラ症:生殖器系に影響を与える細菌感染症
- 寄生虫感染:ジアルジアやコクシジウムなどの寄生虫が尿を介して感染する場合がある
特にレプトスピラ症は人間にも感染する「人獣共通感染症」であるため、注意が必要です。ワクチン接種で予防できるため、かかりつけの獣医師に接種状況を確認しておきましょう。
消化器系への影響
少量であれば大きな問題にはなりませんが、習慣的に大量のおしっこを舐め続けると、消化器系に負担がかかる場合があります。尿中に含まれる老廃物や細菌が胃腸に影響を与え、嘔吐や下痢の原因となることがあります。
犬がおしっこを舐めることについてよくある質問(FAQ)
犬がおしっこを舐める行動について、飼い主さんから多く寄せられる質問をまとめました。子犬の行動や去勢・避妊との関係についても解説していますので、参考にしてください。
Q1. 犬が自分のおしっこを舐めるのは異常ですか?
たまに舐める程度であれば、犬の自然な行動の範囲内であり、過度に心配する必要はありません。ただし、頻繁に繰り返す場合や、急にこの行動が始まった場合は、栄養不足・ストレス・病気などの可能性があるため、獣医師に相談することをおすすめします。
Q2. 子犬がおしっこを舐めるのはなぜですか?
子犬は好奇心が旺盛で、口を使ってさまざまなものを探索します。おしっこを舐める行動も、その一環であることがほとんどです。成長とともに自然と減少するケースが多いですが、清潔な環境を保ちつつ、排泄後すぐにシーツを交換する習慣をつけると良いでしょう。
Q3. 散歩中に他の犬のおしっこを舐めると病気になりますか?
はい、リスクがあります。レプトスピラ症や寄生虫感染など、他の犬の尿を介して感染する病気があります。リードコントロールで舐めさせないようにし、ワクチン接種を最新の状態に保つことが大切です。心配な場合は獣医師にご相談ください。
Q4. おしっこを舐める行動と食糞(うんちを食べる行動)は関係がありますか?
どちらも犬の異食行動に分類され、原因が共通していることがあります。栄養不足、ストレス、退屈、注目を引く行動などが共通の原因として挙げられます。両方の行動が見られる場合は、食事内容の見直しと環境改善を同時に行うことをおすすめします。
Q5. 去勢・避妊手術をするとおしっこを舐める行動は減りますか?
性的な情報収集が目的の場合(特にオス犬がメス犬の尿を舐める場合)、去勢手術によって行動が軽減される可能性があります。ただし、すべてのケースで効果があるわけではなく、習慣化している場合はトレーニングとの併用が必要です。
まとめ
犬がおしっこを舐める行動は、多くの場合、犬の本能や情報収集に基づいた自然な行動です。しかし、頻度が高い場合や急に始まった場合は、栄養不足・ストレス・病気などのサインである可能性もあります。
愛犬の行動を「困った癖」で片付けるのではなく、行動の裏にある理由を理解してあげるようにしてくださいね。
著者
DogLife編集部



