12 March.
犬がヒコーキ耳をする理由は?イカ耳との違いとよくやる犬種も解説
この記事では、ヒコーキ耳の心理から、間違いやすい猫のイカ耳との違い、さらにはヒコーキ耳を見せやすい犬種まで詳しく解説します。

愛犬が耳をペタンと倒して近づいてくる、あの独特のヒコーキ耳。あまりの可愛さに「何を考えているの?」と気になってしまう飼い主さんも多いはずです。実はこの仕草、犬からの大切なメッセージが隠されているサインなのです。
この記事では、ヒコーキ耳の心理から、間違いやすい猫のイカ耳との違い、さらにはヒコーキ耳を見せやすい犬種まで詳しく解説します。愛犬との絆を深めるためのヒントとして、ぜひ役立ててください。
犬のヒコーキ耳とは?

犬を飼っていると、耳が横にパカッと開いて、まるで飛行機の翼のように見える瞬間があります。この状態を、愛好家の間では親しみを込めてヒコーキ耳と呼んでいます。
正式な行動学的用語ではありませんが、SNSや飼い主さんの間ではすっかり定着した言葉です。ピンと立っていた耳が外側に寝ることで、顔全体のシルエットが少し丸くなり、なんともいえない愛嬌のある表情になります。このとき、犬の顔はリラックスしており、目も細められることが多いのが特徴です。
犬がヒコーキ耳をする理由と心理

犬が耳を動かすのは、感情表現です。ヒコーキ耳をしているとき、愛犬の心の中ではどんなことが起きているのでしょうか。
最大級の親愛の情と喜び
ヒコーキ耳の最も代表的な理由は、シンプルに「うれしい!大好き!」というポジティブな感情の爆発です。飼い主さんが仕事から帰宅したときや、大好きなおやつを準備している気配を察したとき、耳をパカッと外側に倒して、お尻を振るように尻尾を動かしていませんか?
これは「あなたに敵意はありません」「好きすぎてどうしよう!」という、甘えたい気持ちが形になったものです。耳を寝かせることで顔の輪郭を丸く見せ、相手に対して自分を小さく、そして無害で愛らしい存在に見せようとする本能的な行動でもあります。この表情で見つめられたら、ついつい目尻が下がってしまいますよね。
服従と敬意のサイン
犬の社会では、相手に対して「私はあなたに従います」「争うつもりはありません」という意思を示す際にも耳を寝かせます。これは決して恐怖に怯えているわけではなく、信頼しているリーダーである飼い主さんに対して、深い敬意を払っている状態といえるでしょう。
特に、自分から近寄ってきて足元でヒコーキ耳になり、目を細めて少し上目遣いをしてくるようなら、それはあなたとの信頼関係が健全に築けている証拠です。愛犬なりに「あなたは私の大切な存在です」と伝えてくれているので、その信頼に応えるように優しく接してあげてください。関係性が深いほど、このリラックスした服従の形が見られるようになります。
リラックスして安心している
特別なイベントがなくても、お昼寝の前や、大好きな場所でまったりしている最中にヒコーキ耳になることがあります。これは、周囲に警戒する必要が一切なく、心からリラックスして安心しきっている状態です。野生の血を引く犬にとって、本来は耳をピンと立てて周囲の音を拾い、外敵に備えるのが基本の姿勢です。
その耳を無防備に寝かせているということは、いまこの場所が自分にとって100パーセント安全だと確信している証拠。飼い主さんのそばでこの耳を見せてくれるのは、あなたが守ってくれるという安心感に包まれているからこそ。穏やかな表情で耳が横に流れていたら、無理に構わず、静かに見守ってあげるのが一番のプレゼントになります。
不安やストレスを感じている場合も
注意が必要なのは、耳を後ろに倒しながら、同時に体を低く沈めたり、ブルブルと震えていたり、白目が見えていたりする場合です。このときの耳の状態は、喜びではなく「怖い」「ここから逃げ出したい」というネガティブなサインになります。例えば、苦手な病院の待合室や、大きな音が鳴り響いている場所などで見られることが多いです。
喜んでいるときのヒコーキ耳とは、顔の筋肉のこわばり方が全く違います。口角が上がっていればポジティブですが、口を固く結んでいたり、鼻にシワが寄っていたり、あくびを繰り返す場合はストレスを感じている可能性が高いです。愛犬が何に対して不安を感じているのか、周囲の状況をよく観察して、不安の種を早めに取り除いてあげましょう。
犬のヒコーキ耳と猫のイカ耳の違い

よく混同されるのが、猫に見られるイカ耳です。どちらも耳が横に張り出す形ですが、実はその意味合いはかなり異なります。
意味が真逆になることが多い
犬のヒコーキ耳が主に喜びや甘えを意味するのに対し、猫のイカ耳は警戒、不快、怒りを意味することがほとんどです。猫が耳を横に寝かせるときは、獲物を狙う際の集中状態か、あるいは相手を威嚇して「それ以上近づくな」と警告しているサイン。耳を後ろに伏せることで、相手に耳を噛まれたり傷つけられたりしないように守る防御姿勢でもあります。
犬の場合は「大好き!」と全力で寄ってくるサインなのに、猫の場合は「今は絶対に構わないで!」という拒絶のサインになる。このギャップは非常に面白いポイントですが、猫に対して犬と同じ感覚で接するとパンチを食らうこともあるので注意が必要です。動物ごとのボディランゲージの違いを知っておくことは、トラブルを防ぐためにも大切です。
見た目のニュアンスの違い
犬のヒコーキ耳は、どちらかというと耳の力が抜けていて、顔全体が「おにぎり」や「おまんじゅう」のような丸いフォルムになります。全体的に表情が柔らかく、トロンとした目つきになるのが特徴です。対して猫のイカ耳は、耳の先までピンと神経が研ぎ澄まされており、まさにイカのエンペラ(耳)のように鋭い角度で真横に突き出します。
もし犬が猫のような鋭い角度で、かつ力強く耳を後ろに張り付かせている場合は、喜びではなく怒りや攻撃の準備をしている可能性があるので要注意です。その際は唸り声を上げていないか、毛が逆立っていないかを確認しましょう。基本的には、犬のヒコーキ耳は「ソフト」、猫のイカ耳は「ハード」な質感に見えるのが見分けるコツです。
ヒコーキ耳をよくやる犬種

すべての犬がヒコーキ耳をするわけではありません。耳の形や筋肉の付き方によって、やりやすい犬種とそうでない犬種がいます。
柴犬(日本犬)
ヒコーキ耳といえば柴犬。ネット上でも、柴犬が耳を消失させて笑顔で近づいてくる画像は大人気ですよね。柴犬はピンと立った三角形の立ち耳を持っており、かつ顔の筋肉が非常に発達しているため、耳が横に倒れたときのシルエットの変化がわかりやすいのが特徴です。
また、柴犬は特定の飼い主さんに対してのみ強い信頼と愛情を寄せる傾向があります。そのため、家族にだけ見せる特別なヒコーキ耳は格別で、そのギャップにハマる飼い主さんが後を絶ちません。日本犬らしい、控えめながらも全力の愛情表現といえるでしょう。
チワワ
大きな立ち耳を持つチワワも、実はヒコーキ耳をよくやります。普段のパッチリ開いた大きな耳が後ろに隠れると、まるでおまんじゅうのような、あるいはアザラシのような独特のフォルムに変身します。チワワは非常に感情表現がストレートで豊かな犬種なので、帰宅した瞬間に全力で耳を倒し、体全体を使って喜びを爆発させてくれる姿は、飼い主冥利に尽きる瞬間です。
体が小さいため、耳の動きひとつで顔の印象がガラリと変わるのもチワワならではの魅力。ウルウルとした瞳をさらに細めてヒコーキ耳をしているときは、心の底から甘えたいモードに入っていますよ。
ポメラニアン
モフモフのポメラニアンがヒコーキ耳をすると、小さな耳が毛の中にすっぽりと埋まって消えてしまうことがあります。この、耳がなくなってアザラシのような丸い顔になるポメラニアンの姿は、ファンの間で「アザラシ化」とも呼ばれています。
毛量が多い犬種なので、耳を倒すと顔の丸みが強調され、普段の華やかな可愛さとはまた違ったおっとりした可愛さが引き立ちます。ポメラニアンがヒコーキ耳をしているときは、かなりリラックスして気分が良いとき。毛並みを整えてもらいながらうっとりしている際にもよく見られる光景です。
コーギーやフレンチブルドッグ
コーギーやフレンチブルドッグのように、体に対して比較的大きな耳を持つ犬種も、ヒコーキ耳が非常に目立ちます。もともとの耳の面積が広いため、横にパカッと倒れたときのインパクトが強く、一目で「あ、今ものすごく喜んでるな」と判別できるのが楽しいポイント。特にコーギーは、短い足を一生懸命動かしながらヒコーキ耳で駆け寄ってくる姿が最高にキュートです。
フレンチブルドッグの場合は、耳を倒すと同時に鼻を鳴らして歓迎してくれることも多いでしょう。彼らは顔の表情が人間のように豊かなので、ヒコーキ耳とセットで笑顔のような口元を見せてくれることもあります。
柴犬なのにヒコーキ耳をしない?考えられる理由3選

柴犬の代名詞ともいえるヒコーキ耳ですが、中には全くしない子もいます。「うちの子はしてくれない」と寂しく思う必要はありません。
耳の付け根の筋肉の問題
耳を動かすための筋肉の可動域には、実はかなりの個体差があります。人間でも耳を動かせる人と動かせない人がいるように、犬も物理的に耳を真横や後ろに倒しにくい骨格や筋肉の付き方をしている子がいます。特に耳の軟骨が非常にしっかりしている立ち耳の子は、気持ちが高ぶっていても耳がそのままピシッと立ったままになることが多いです。
この場合、本人は心の中で「ヒコーキ耳になるくらい嬉しい!」と思っていても、物理的に動かないだけ。耳が動かなくても、尻尾が動いていたり、目がキラキラしていたりすれば、それは十分に喜んでいる証拠です。
表現方法に個性があるだけ
人間と同じように、犬にも一人ひとり個性豊かな性格があります。感情を耳でダイレクトに表現するタイプの子もいれば、尻尾をブンブン振ることで伝える子、あるいは鼻を鳴らして話しかけてくる子など、バリエーションは様々です。中には、ヒコーキ耳はせず、静かに寄り添ってじっと見つめてくることで深い愛情を示すクールなタイプもいます。
ヒコーキ耳をしないからといって、決してあなたを好きではないとか、信頼していないということではありません。その子は耳以外の場所で、一生懸命に愛を伝えてくれているはずです。手のひらや足元に鼻を押し付けてきたり、背中をピタッとくっつけてきたりしていませんか?
成長とともに喜び方が変化
子犬の頃はまだ耳の軟骨が柔らかく、感情に合わせてヒコーキ耳をよくしていたけれど、成犬になって耳がカチッと安定してからはしなくなった、というケースも珍しくありません。これは身体的な成長によるもので、ごく自然なことです。逆に、若い頃は常に周囲を警戒して耳を立てていた子が、シニアになって穏やかになり、飼い主さんの前でだけヒコーキ耳を見せるようになることもあります。
年齢とともに表現方法が変わっていくのは、それだけ一緒に過ごした時間が長く、関係性が深まってきた証でもあります。
まとめ
ここまで、犬がヒコーキ耳をする理由や心理、そして猫のイカ耳との違いについて詳しく解説してきました。
犬のヒコーキ耳は、その多くが親愛、喜び、リラックスといった、飼い主さんに対するポジティブなメッセージです。特に柴犬やチワワ、ポメラニアンなどの立ち耳を持つ犬種が見せてくれるヒコーキ耳は、信頼関係があるからこそ見られる特別な姿と言えるでしょう。
一方で、状況によっては不安や警戒を表している場合もあります。耳の形だけでなく、尻尾の振り方や目の表情、体全体の力み具合など、愛犬のサインを読み取ってあげることが大切です。
もし愛犬がヒコーキ耳をあまりしなくても、それは個性のひとつ。耳以外の場所で、あなたへの愛を一生懸命に伝えてくれているはずですよ。今回の記事をきっかけに、愛犬の耳の動きをより愛おしく感じていただけたら嬉しいです。
著者
DogLife編集部



