16 March.
【パンティングが止まらない時は】犬がハアハア、呼吸が荒いときの対処法
この記事では、犬のパンティングが止まらない原因と、飼い主さんが今すぐ取るべき行動をまとめました。

愛犬が「ハアハア」と激しい呼吸をしていると、見ているこちらまで息苦しくなってしまいますよね。
ただの暑さならいいのですが、もし病気やストレスのサインだとしたら……。特に夜中に突然始まったり、体が震えていたりすると、どう対処すべきかパニックになってしまうこともあるでしょう。
この記事では、犬のパンティングが止まらない原因と、飼い主さんが今すぐ取るべき行動をまとめました。
パンティングとは?犬がハアハアする仕組み
そもそもパンティングとは、犬が口を大きく開けて「ハアハア」と浅く速く呼吸することを指します。人間は全身に汗をかくことで体温を下げますが、犬は肉球以外にほとんど汗腺がありません。そのため、舌を出して唾液を蒸発させ、その気化熱を利用して体温を逃がしているんです。いわば、犬にとっての天然のクーラー機能ですね。
しかし、この機能が追いつかないほど体温が上がっていたり、体温以外の要因で呼吸が乱れていたりする場合は注意が必要です。
パンティングが止まらない!緊急性が高いサイン
まず最初に確認してほしいのが、命に関わる緊急事態かどうかです。以下の症状がパンティングと一緒に見られる場合は、迷わず動物病院へ連絡してください。
舌や歯ぐきの色が紫や白っぽい
通常、犬の舌や歯ぐきは健康的なピンク色をしています。これが紫がかった色(チアノーゼ)になっていたり、逆に血の気がなく真っ白だったりする場合は、酸素が十分に足りていない証拠です。
肺や心臓の機能が低下しているか、重度の貧血、あるいはショック状態に陥っている可能性があります。一刻を争う事態ですので、夜間であっても救急外来を受診することを検討してください。まずは愛犬の口をそっと開けて、粘膜の色を確認してみてください。
意識がぼんやりしている、ぐったりしている
呼びかけに反応が薄い、焦点が合っていない、立ち上がれないといった様子があるなら、脳や内臓に深刻なダメージが及んでいる可能性があります。
特に熱中症が進行すると、体温調節機能が壊れてしまい、ただハアハア言うだけでなく、力なく横たわったまま動けなくなることが多いです。
名前を呼んでも耳すら動かさない、視線が合わないといった状態は、非常に危険なサインです。保冷剤で体を冷やしながら、すぐに車を出す準備をしてください。
体温が異常に高い
背中やお腹に触れてみて、いつもより明らかに熱いと感じる場合、熱中症の危険が高まっています。
犬の平熱は38度台ですが、40度を超えると内臓へのダメージが始まります。
特に夏場の散歩後や、直射日光の当たる車内に短時間でもいた後は注意が必要です。もし家庭用の体温計があるなら、直腸(お尻の穴)で測るのが正確ですが、難しければ耳の付け根や股の部分で測ってみてください。
よだれが大量に出る、嘔吐する
呼吸が荒いだけでなく、粘り気のあるよだれが止まらなかったり、何度も吐き戻したりするのは、中毒症状や熱中症の典型的なサインです。
また、胃拡張・胃捻転症候群という恐ろしい病気でも、苦しさから激しいパンティングと空吐き(吐きたいのに出ない状態)が見られます。胃捻転は大型犬に多いですが、小型犬でも起こり得ます。お腹がパンパンに張っていないか確認し、異常があればすぐに受診してください。一分の遅れが命取りになることもある疾患です。
状況別で見る!犬の呼吸が荒くなる原因
パンティングが止まらない背景には、環境によるもの、精神的なもの、そして身体的なものまで、さまざまな要因が絡み合っています。
暑さや湿気による熱中症
最も多いのがこれです。日本の夏は湿度が高いため、パンティングだけでは体温を下げきれないことが多いんです。室内であっても、エアコンの効きが弱かったり、窓際で直射日光を浴びていたりすると、あっという間に熱中症予備軍になってしまいます。特にパグやフレンチブルドッグなどの短頭種は、もともと呼吸効率が悪いため、人間が「少し暑いかな」と感じる程度でも限界を迎えてしまうことがあります。室温だけでなく湿度の管理も徹底しましょう。
ストレスや恐怖心
犬は不安を感じると、自律神経が乱れてパンティングを始めます。「病院に来たとき」「雷や花火の音がしたとき」「知らない人が家に来たとき」などは、一時的に呼吸が速くなります。これは体が闘争・逃走モードに入り、酸素を多く取り込もうとする本能的な反応です。原因がはっきりしている場合は、その対象を遠ざけることで次第に落ち着きます。もし何も心当たりがないのに怯えて呼吸が荒いなら、目に見えない痛みや不快感にストレスを感じているのかもしれません。
興奮や喜び
ドッグランで走り回ったり、大好きな飼い主さんが帰宅したりした際にもハアハア言いますよね。これは生理的な反応なので、しばらくして落ち着けば問題ありません。うれしくて興奮すると心拍数が上がり、それに伴って呼吸も速くなります。ただし、興奮しすぎてそのまま倒れ込んでしまったり、呼吸がいつまでも整わなかったりする場合は、心臓や肺に持病が隠れているケースもあります。遊びの最中でも、愛犬の息の上がり方が激しすぎないか、冷静に見守る目が必要です。
痛みや不快感
どこかを怪我していたり、お腹が痛かったりするときも、犬は言葉で伝えられない代わりに呼吸を荒くして痛みに耐えることがあります。例えば、椎間板ヘルニアで背中に激痛が走っているとき、犬はジッと動かずにハアハアと短い呼吸を繰り返すことがあります。見た目には怪我がなくても、内臓の炎症や関節の痛みで呼吸が乱れることは珍しくありません。体を触ろうとするとキャンと鳴いたり、特定の部位を触られるのを嫌がったりしないかチェックしてください。
誤飲・誤食
毒性のある食べ物(チョコやネギ類など)を食べてしまったり、異物を飲み込んで喉に詰まらせかけたりしているときも、苦しさから呼吸が乱れます。特に散歩から帰った直後や、飼い主さんが目を離した隙に何かがなくなっている場合は要注意です。中毒症状は摂取してから数時間後に現れることも多く、呼吸困難や震え、意識混濁を伴うことがあります。何を、いつ、どれくらい食べた可能性があるかを整理し、すぐに獣医師の指示を仰ぐことが重要です。
夜中にパンティングが止まらない、落ち着きがない時の理由
夜、寝ようとしているのに愛犬がずっとハアハア言ってウロウロしている……。これも飼い主さんを悩ませるポイントですよね。
寝床の温度が高い
犬は人間よりも低い位置で生活しているため、床付近に熱がこもっていることがあります。暖かい空気は上に溜まりますが、床暖房やカーペットが熱すぎたり、ふかふかのベッドが保温されすぎたりして、犬にとってはサウナ状態になっている場合があるのです。特に冬場、人間用の暖房設定に合わせていると、毛皮を着ている犬には暑すぎることがあります。愛犬が冷たいフローリングに移動して寝ようとしているなら、それは「暑い」という分かりやすいサインです。
認知症(高齢犬の場合)
シニア犬になると、認知症の症状として「夜鳴き」や「意味もなく歩き回る(徘徊)」、そして「パンティング」が見られるようになります。脳の老化によって不安感が増し、昼夜逆転して夜に神経が昂ってしまうのが原因です。本人は理由もなくソワソワしてしまい、どうしていいか分からずにハアハアと呼吸が荒くなってしまいます。この場合、叱っても解決しません。サプリメントや投薬、あるいは日中の活動量を増やすなどの工夫が必要になるため、獣医師に相談しましょう。
心疾患や呼吸器疾患
心臓病(僧帽弁閉鎖不全症など)を患っている場合、横になると肺が圧迫されたり、血液の循環が悪くなったりして、呼吸が苦しくなることがあります。寝ようとしても苦しいため、何度も起き上がってウロウロし、パンティングを繰り返すのです。これは「心不全」の一歩手前である可能性もあり、非常に注意が必要な状態です。夜間に呼吸数が1分間に40回を超えている(寝ている時)ようなら、病気の進行が疑われます。早急な専門医の診断が必要です。
パンティングに加えて「震え」がある場合の注意点
「ハアハア」言いながら「プルプル」震えているときは、単なる暑さではない可能性が高いです。
強い痛みを感じている
骨折、椎間板ヘルニア、腹膜炎など、強い痛みを伴う疾患がある場合、犬は震えながら呼吸を荒くします。これは痛みによるショックや、交感神経の過度な興奮から来るものです。特に、お腹を丸めて震えている場合は、膵炎などの激しい内臓の痛みが疑われます。触ろうとすると唸ったり、抱っこを嫌がったりする場合は、無理に動かさず、安静にさせて病院へ連れて行きましょう。痛みでパニックになり、飼い主さんに噛みついてしまうこともあるので注意が必要です。
中毒症状
殺虫剤や植物、タバコ、人間の薬などを誤飲した場合、神経症状として震えやパンティング、けいれんが起こることがあります。体内に入った毒素が神経系に影響を及ぼし、筋肉が勝手に震えたり、体温が急上昇したりするのです。よだれを垂らす、目が充血する、何度も吐くといった症状が併発しているなら、一刻も早く胃の内容物を出したり、解毒処置を行ったりする必要があります。心当たりがある場合は、その現物を持って(あるいは写真を撮って)病院へ急いでください。
低血糖
特に子犬や小型犬、あるいは糖尿病の治療中の犬に多いですが、エネルギー不足で血糖値が下がると、力が入らずに震え、呼吸が不安定になることがあります。脳のエネルギー源である糖が足りなくなるため、放っておくと昏睡状態に陥ることもある恐ろしい状態です。震えながらぐったりしている場合は、砂糖水を少し口に含ませるなどの応急処置が有効なこともありますが、自己判断は危険です。まずは電話で獣医師に現在の状態を伝え、指示を仰ぐようにしてください。
飼い主さんがすぐに行うべき対処法
愛犬の呼吸が荒いと感じたら、まずは冷静になって以下の対応を試してみてください。
室内の温度・湿度を下げる
まずは涼しい部屋へ移動させましょう。エアコンの温度設定を20度〜23度くらいまで下げ、サーキュレーターなどで空気を循環させます。湿度は50%以下に。
日本の夏は、気温以上に湿度が犬の体温調節を妨げます。部屋を冷やすのと同時に、除湿するのも有効です。
また、犬が自由に移動できるなら、保冷マットや冷たいタイルを用意して、自分で涼しい場所を選べるようにしてあげると、落ち着くまでの時間が早まります。
体を冷やす
首の横、脇の下、太ももの付け根など、太い血管が通っている場所を保冷剤(タオルで巻いたもの)で冷やします。もし全身が熱い場合は、水で濡らしたタオルで体を拭き、扇風機の風を当ててあげてください。
水が蒸発する時の気化熱で体温を効率よく下げることができます。ただし、氷水などで急激に冷やしすぎると、表面の血管が収縮してしまい、かえって深部体温が逃げにくくなることもあるため、常温に近い水か、冷やしすぎない工夫が必要です。呼吸が整うまで継続しましょう。
水分を補給させる
自力で飲めるようなら、水を与えてください。脱水症状を起こしていると呼吸が荒くなるため、水分補給は重要です。ただし、無理やり口の中に流し込むと、誤って気管に入ってしまい誤嚥(ごえん)性肺炎の原因になるため、あくまで自分から飲むのをサポートする形にしましょう。
もし水を飲まない場合は、氷をひとなめさせたり、ウェットフードを水で溶いたものを差し出したりすると飲むことがあります。飲んだ後も、一気に大量に飲むと吐いてしまうことがあるので注意してください。
安心させる
ストレスや不安が原因だと思われる場合は、優しく声をかけながら背中を撫でてあげてください。飼い主さんがパニックになり、「どうしよう!」と騒ぐと、その不安は敏感に犬に伝わります。
飼い主さんが落ち着いたトーンで接するだけで、犬の副交感神経が優位になり、呼吸が落ち着くことも。雷や花火の音が原因なら、お気に入りの毛布に包んであげるなど、愛犬が「ここは安全だ」と思える環境を作ってください。
まとめ
「いつもと違うな」という飼い主さんの直感を信じることが大切です。
特にシニア犬や、パグ・ブルドッグなどの短頭種、毛の長い犬種は呼吸器トラブルが起こりやすいので、日頃から室温管理には人一倍気を使ってあげてくださいね。
著者
DogLife編集部



